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HOME > 漢方コラム > 中原先生の漢方コラム「二味の薬徴 柴胡と黄芩」
漢方コラム

二味の薬徴 柴胡と黄芩:胃腸に優しい消炎解熱剤

今回は柴胡と黄芩について検討します。柴胡はセリ科のミシマサイコの根茎で、江戸時代に伊豆半島で採集された物が三島のみやげ物として有名となり、植物名ミシマサイコの名称の由来となっています。黄芩はシソ科のコガネバナの周皮を除いた根で、旺盛な繁殖力を持ち病気にも強く土地を選ばない栽培しやすい植物ですが、浮気者で他種と交配し易く純粋な種を保存するのが難しいそうです。そんな黄芩の浮気性は薬徴にも存分に発揮されており、柴胡や黄連だけでは邪気を除くことが出来ない時に黄芩はそれらを助けて熱邪を退ける薬能があり、「新本草備用」には「黄芩は柴胡を得て寒熱を退け、芍薬を得て痢の薬となり、厚朴、黄連を得て肺火を瀉し、白朮を得て安胎の聖薬となる」と諸薬とペアを組んでパートナーを助ける能力に長けていることが示されています。

柴胡の薬理作用:柴胡の主な薬理作用には、中枢抑制を介した鎮静・鎮痛・鎮咳・解熱作用・抗てんかん作用、抗潰瘍作用、肝障害改善作用、脂質代謝改善作用、抗腎炎作用、免疫機能増強作用、ステロイド様作用、抗腫瘍作用が報告されています。

黄芩の薬理作用:黄芩の主な薬理作用には、抗炎症/抗アレルギー作用、体温下降作用・鎮痛作用、血圧下降作用がありますが、これらの作用機序として5-lipoxygenase阻害を介するLT系合成阻害作用、chemical mediator遊離抑制作用、NO産生増加作用および細胞内cGMP増加作用が考えられています。この他胆汁分泌促進作用、各種病原菌に対する抗菌作用、抗インフルエンザウイルス作用、HIV逆転写酵素活性阻害作用、抗腫瘍作用、等多彩な作用が報告されています。

柴胡と黄芩は少陽病の君薬:柴胡と黄芩の2つを構成生薬に持つ漢方薬は、小柴胡湯、大柴胡湯、柴胡加竜骨牡蠣湯、柴胡桂枝乾姜湯、柴胡桂枝湯のように柴胡剤と呼ばれるグループの中の少陽病方剤に多く認められます。少陽病では病気が咽、耳、気道、食道、胸部、心窩部に進んで表と裏との間の広範な熱証(半表半裏の熱)を示します。免疫機能の疲弊も起こり、激しい治療法は用いられずに、もてる体力、もてる免疫力を調節して病因を駆逐するように治療が行われます。そのため消炎解熱作用はあまり強くなく胃腸にやさしい柴胡+黄芩が配合された処方を用います。柴胡+黄芩が少陽病の君薬と位置づけられる理由は、柴胡が少陽の半表にある熱を透出し黄芩が少陽の半裏にある熱を退くため、柴胡と黄芩のペアは少陽病の半表半裏の熱を散ずることができることになるからと説明されています。

柴胡+黄芩の二味を含有する漢方薬:したがって、少陽病に用いる柴胡剤は消炎・解熱・鎮痛作用を持つ柴胡+黄芩を中心としながら、それぞれの病態に応じた生薬が配合されています。例えば胸脇苦満(胸下部肋骨弓あたりに充満感があって苦しい状態)を呈する小柴胡湯証では心下痞鞭(みぞおちの固まりに手を触れて圧痛のあるもの)を治す人参、水飲(胃内停水、胃液分泌過多)を和し嘔を治す半夏・生姜、胃部を温め補う生姜・大棗・甘草を配して攻め(柴胡・黄芩・半夏)と守り(人参・甘草・大棗・生姜)の薬味をバランス良く配合しています。
胸脇苦満の一段と進行した状態である心下急(心下拘攣の一等激しいもの)を呈する大柴胡湯証では補剤である人参や甘草を除き、強い緊張を緩める芍薬・気の病的充実を開く枳実・便秘あるいは嘔を除く大黄を加えた痬下に専念した配剤となっています。
大柴胡湯証に神経症状が加わった胸満煩驚(胸がいっぱいになった感じがして気持ちが悪く、神経過敏になって驚きやすくなること)を呈する柴胡加竜骨牡蠣湯証では、気・水の上迫を捌く桂枝・茯苓を加え、胸腹の動悸を鎮める竜骨・牡蠣、君薬の働きを助ける生姜・半夏・大棗・人参が配剤されています。
柴胡桂枝乾姜湯証では小柴胡湯証が軽く認められますが、心下支結も微結で季肋下から胃部にかけて陥没して抵抗も圧痛も弱く、腹直筋の全長に亘る異常緊張を示します。さらに津液を失い神経症状と上衝があるので小便不利となり頭にのみ汗をかきます。このため、柴胡+黄芩に気逆上衝を治す桂枝・甘草、裏寒を温める甘草・乾姜、渇を鎮める栝呂根、胸腹の動悸を治す牡蠣を加えて気力、抵抗力を補う配剤となっています。
つまり軽重差はあっても心下部がつかえて症状が結ばれ、往来寒熱(悪寒と発熱が一日の中に午前と午後に一交代して現れる熱症)、嘔吐・嘔気、心煩(胸部の煩悶感)、咳、経水不利、血熱(瘀血がひどく、血の栄養・滋潤機能が十分果たせなくなった場合に起こる)等の胸脇苦満に柴胡剤が有効とされています。なお、矢數道明先生によれば胸脇苦満という現象は少陽の部位における内熱によって腫脹硬結が起こり、胸壁におけるリンパ腺にも腫脹と硬結を生じたことによるものとされています。



参考文献一覧
「傷寒論の謎-二味の薬徴-」田畑 隆一郎 緑書房(1992年)
「腹症図解 漢方常用処方解説(第50版)」高山 宏世編著(2011年)
「自然の中の生薬-ハンドブック版-」株式会社ツムラ監修 株式会社協和企画 (2011年)
「モノグラフ 漢方方剤の薬効・薬理」丁宗鐵・鳥居塚和生著 医歯薬出版株式会社 (2009年)
「傷寒・金匱薬物辞典」伊田喜光総監修 根本幸夫・鳥居塚和生監修 万来舎(2006年)
「月刊誌漢方研究 -生薬の薬効・薬理シリーズ-」鳥居塚和生著 小太郎漢方製薬発刊 (1997~2007年)
「類聚方広義解説」藤平健主講 藤門医林会編 創元社 (2005年)
「-臨床応用-漢方處方解説」矢數道明著 創元社 (1981年)

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