茨城県(つくば市,筑西市,下妻市,結城市)の調剤薬局 :: 株式会社マイドラッグ(ハニュウ薬局)     サイトマップ リンク集
会社案内店舗一覧Q&A採用案内お問合せ

HOME > 漢方コラム > 中原先生の漢方コラム「二味の薬徴 乾姜と生附子」
漢方コラム

二味の薬徴 乾姜と生附子:全身の極端な冷えを温める最強のタッグ

今回は「冷え」に有効な生薬のうち、特に強力な効果を発揮する乾姜と生附子との組み合わせについて調べてみました。今回登場する漢方薬は最も腹部の冷えが強い状態を改善するものです。

乾姜の薬能・薬理作用:乾姜はショウガ科ショウガの根茎を蒸してからコルク皮を除き乾燥したもので、乾生姜とは蒸さずにコルク皮を除き乾燥したものです。高橋良忠先生によると、「乾生姜は、白っぽく澱粉がふいているようで、精油と思われる揮発物の口を灼くような辛味があるのに反して、乾姜は茶褐色で澱粉が糊化し乾燥された固いかたまりになっており、口を灼くような精油らしいものがない。そこで極言すれば生姜(生姜汁、乾生姜も含む)は揮発物すなわち精油が有効成分、乾姜は辛味成分が有効成分となるようである。」とされています。乾姜の熱薬としての薬理作用には、乾姜成分である6-shogaolに強い止瀉作用と5-HT誘発体温低下に対する拮抗作用が認められています。この他鎮吐作用、鎮静作用、鎮痙作用、抗潰瘍作用、利胆作用、強心作用が認められています。

附子の毒性・注意点:附子はキンポウゲ科のカラトリカブトやオウトリカブト等の同属植物の塊根をあてており、母根を烏頭(ウズ)子根を附子(ブシ)と呼びます。附子は矢毒として用いられる程強い毒性を持っている生薬ですが、この毒性を軽減するための修治したものとして白河附子や炮附子、加工附子があります。毒性の主体はaconitineですが、有効成分はその加水分解産物であるaconineおよびクロロホルム不溶性画分に含まれる物質であることが報告されています。面白いことに、このaconineはaconitineの心伝導障害に拮抗することが報告されています。つまり烏頭・附子は煎じることによって毒性成分を加水分解して減弱するだけでなく、拮抗物質を産生して毒性を減じることになります。なお、附子の服用は寒冷に対して抵抗性を増強するのですが、一方で中毒症状は温度の上昇に従って顕著に現れることが報告されています。従って、附子は充分に煎じて(沸騰後60分以上)から服用し、体温を上昇させる運動・飲酒・入浴は慎み発熱時や温暖な季節では附子の用量を控える必要があります。副作用としては舌又は口唇周囲のしびれから始まり、投与量が多いと動機、胸部から心下部の不快感、身体動揺感、頭痛、血圧上昇、悪心、嘔吐を経て最終的には心室細動で死亡に至ることがあります。附子の漢方的解毒方法としては甘草乾姜湯、味噌汁や青豆甘草の煎じ液(大豆でも良い)、応急処置としてアトロピン注射や塩酸プロカインが有効とされています。

附子の薬効・薬理作用:附子の薬理作用には強心作用、血管拡張作用、中枢性の鎮痛作用、体温下降作用、交感神経機能亢進作用、副交感神経機能亢進作用、抗炎症作用等が報告されていますが、恐らく熱薬としての薬理作用には強心作用と自律神経の機能亢進作用が大きく関与していると思われます。なお鎮痛作用はdopamineレセプター遮断剤で増強され、ℓ-dopaおよびdopamineで拮抗されることから、dopamine関連薬剤との併用には注意が必要と思われます。

乾姜と附子2味の薬徴:「神農本草経」に挙げられている「辛温(噛んで舌に感ずる辛味があり、結果的に体を温める作用があるもの)」に属する生薬24種のうち乾姜、附子、細辛はその温める作用が強力であるので熱薬あるいは大熱薬と呼ばれています。この熱薬同士の組み合わせは体内が相当に冷え切って新陳代謝が極端に沈衰している病態に使用されます。乾姜は水毒の上迫(嘔吐、咳嗽、煩躁など)に、附子は水毒下降(下痢、厥冷:四肢末端より冷えが上ってくる状態など)にとその役割は異なっています。また、乾姜は裏の寒を温め局所性貧血を調整し、附子は表と裏といずれにも作用して寒冷を温め、両薬が協働して寒によって起る症状、すなわち冷え、疼痛等を除きます。

乾姜と附子の2味を含有する漢方薬:乾姜と附子の組み合わせを構成生薬に持つ漢方薬には乾姜附子湯、四逆湯、通脈四逆湯、四逆加人参湯、茯苓四逆湯などがありますが、いずれも随伴する症状を抑える生薬を加味しています。乾姜附子湯証では急激な煩躁のみの単純な証で、乾姜と附子の2味構成ですが、四逆湯証では渇・嘔・仮熱が加わりこれらの証に対して急迫を治す甘草が加えられています。すなわち厥冷・煩躁・吐逆・驚狂・心煩・衝逆などの急迫の証を治し、裏急、攣急、腹痛、下利等をも治す甘草がむしろ主役となっています。通脈四逆湯証では、四逆湯証の症状がより重症化したもので嘔吐や下痢、厥冷が甚だしいために乾姜の量を倍加しています。また嘔吐と下痢が同時に見られる吐瀉病になって裏虚悪寒する四逆加人参湯証では心下痞硬を主治し胃腸症状を改善する人参を加えています。さらに心下部の動悸があり、小便の出が悪く浮腫を呈する水毒症状がある場合には茯苓を加えた茯苓四逆湯とします。



参考文献一覧

「傷寒論の謎-二味の薬徴-」田畑 隆一郎 緑書房(1992年)
「近代漢方薬ハンドブック 第Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ」高橋 良忠著 薬局新聞社(2005年)
「腹症図解 漢方常用処方解説(第50版)」高山 宏世編著(2011年)
「自然の中の生薬-ハンドブック版-」株式会社ツムラ監修 株式会社協和企画 (2011年)
「モノグラフ 漢方方剤の薬効・薬理」丁宗鐵・鳥居塚和生著 医歯薬出版株式会社 (2009年)
「傷寒・金匱薬物辞典」伊田喜光総監修 根本幸夫・鳥居塚和生監修 万来舎(2006年)
「月刊誌漢方研究 -生薬の薬効・薬理シリーズ-」鳥居塚和生著 小太郎漢方製薬発刊 (1997~2007年)
「類聚方広義解説」藤平健主講 藤門医林会編 創元社 (2005年)
「-臨床応用-漢方處方解説」矢數道明著 創元社 (1981年)

マイドラッグで働く
調剤薬局のお仕事
先輩社員へのインタビュー
社内委員会
社宅制度
在宅医療
漢方への取り組み