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HOME > 漢方コラム > 中原先生の漢方コラム「二味の薬徴 甘草と乾姜」
漢方コラム

二味の薬徴 甘草と乾姜: 重症ではない胸・腹部の冷えを温める

今回は甘草と乾姜の組み合わせについて検討します。前回の乾姜と附子の二味では大陰病・厥陰病の陰虚証で重篤な冷えを改善する漢方薬について紹介しましたが、今回は少陽病位(肺、脾、胃)太陰病位の比較的軽症の冷えを改善するための二味です。この二味に附子を加えると全身を温める四逆湯になり、重篤な冷えを改善できるようになります。

甘草の薬理作用:甘草はマメ科のカンゾウ属でカンゾウの根およびストロンを乾燥したものです。甘草は硬質コルチコイド、糖質コルチコイドとしての抗炎症作用、抗アレルギー作用を持ち、ステロイド受容体に対して直接作用により受容体の結合数や親和性を増強すると言われています。また、中枢抑制的に働き、体温降下作用、鎮静作用を示し、鎮痙作用、抗ウイルス作用、抗菌活性鎮咳作用も報告されています。甘草の役割は これらの薬理作用を背景に急迫症状(症状が激しくて苦しむという差し迫った病症)を治すとされています。

乾姜の薬理作用: 乾姜はショウガ科ショウガの根茎を蒸してからコルク皮を除き乾燥したもので、乾生姜とは蒸さずにコルク皮を除き乾燥したものです。乾姜の薬理作用には鎮吐作用、鎮静作用、鎮痙作用、抗潰瘍作用、腸管内輸送促進作用、利胆作用、血圧下降作用、強心作用、抗炎症作用が報告されています。また乾姜含有成分である6-shogaolには強い止瀉作用とともに5-HT誘発体温低下に対する拮抗作用が報告されており、強心作用とともに熱薬としての作用機序と考えられます。矢数道明先生は「一種の刺激性興奮薬で、組織の緊張を亢め、血行を盛んにし、元気活力をつけるものである」とされています。

乾姜と甘草の薬徴:乾姜は寒冷を抑え陽気を回復し水毒の上迫(咽中乾、吐逆、咳、喀痰、眩暈、煩躁など)を治すのが主で水毒の下降(下痢、厥冷など)を治すのが客です。甘草は乾姜の作用をセーブしつつ一緒に急迫を抑えます。

乾姜・甘草の二味を含有する漢方薬:陽証に小青龍湯、半夏瀉心湯、生姜瀉心湯、甘草瀉心湯、黄連湯柴胡桂枝乾姜湯、苓甘姜味辛夏仁湯がありますが今回は太陰病の漢方薬のみ取り上げることにします。

甘草乾姜湯:虚証の者に発汗剤を誤用し、そのため陽気がさらに虚してしまい手足厥冷、煩躁、吐逆、口内乾燥等の症状を呈する場合に使用します。また遺尿(夜尿症)や多尿にも用いますが寒性症状があって新陳代謝の沈衰したものを目標とします。甘草・乾姜の二味を含有する四逆湯、苓姜朮甘湯、人参湯等にはすべて多尿の傾向があるとされています。

人参湯:よく子供がプールで体を冷やした上に冷たいものを食べて下痢・腹痛を呈する時に使用される方剤です。腹痛を伴う時には桂枝加芍薬湯を併用します。人参が君薬で新陳代謝を促進して裏(胃腸)の虚弱を補強し、水の調節を計ります。乾姜は人参に協力し、同じく胃腸を温め、水を利(排出)するものです。
桂枝人参湯:頭痛、発熱、頭汗などの表証が除かれず(太陽病)、心下痞硬して下痢する(太陰病)併病(2つの病位を併せ持つ)に表裏双解の法によって治そうとする方剤です。表証に桂枝、裏証に人参湯が当たります。

苓姜朮甘湯:下焦(腰から下の部分)が寒と湿に侵されて、腰から下が冷えて重く心下悸あるいは臍上動悸を触れ、頻尿をともなうものに使用されます。乾姜が大量に配されて温める作用を強化し、茯苓が下焦に滞っている水毒を配する方剤です。



参考文献一覧

「傷寒論の謎-二味の薬徴-」田畑 隆一郎 緑書房(1992年)
「腹症図解 漢方常用処方解説(第50版)」高山 宏世編著(2011年)
「自然の中の生薬-ハンドブック版-」株式会社ツムラ監修 株式会社協和企画(2011年)
「モノグラフ 漢方方剤の薬効・薬理」丁宗鐵・鳥居塚和生著 医歯薬出版株式会社(2009年)
「傷寒・金匱薬物辞典」伊田喜光総監修 根本幸夫・鳥居塚和生監修 万来舎(2006年)
「月刊誌漢方研究 -生薬の薬効・薬理シリーズ-」鳥居塚和生著 小太郎漢方製薬発刊(1997~2007年)
「類聚方広義解説」藤平健主講 藤門医林会編 創元社 (2005年)
「-臨床応用-漢方處方解説」矢數道明著 創元社 (1981年)

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