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HOME > 漢方コラム > 中原先生の漢方コラム「二味の薬徴 朮と附子」
漢方コラム

二味の薬徴 朮と附子:陰虚証の疼痛性疾患における疼痛に有効

今回は平素水毒(水滞・痰飲とも言う。活性を失って体内に貯留した水液およびそれによって起る病症。倦怠感、頭重、立ちくらみ、目眩、動悸、吐気、食欲不振、小便不利、浮腫など)のある人が、外邪に侵されて発する疼痛疾患に用いられる朮と附子の二味についてまとめてみました。田畑隆一郎先生によると「朮と附子の二味の薬方の位するところは概して陰虚証であり、陰証とは新陳代謝が著しく沈衰した状態であり、このため体温の生産は減少し、皮膚は寒冷となり、悪寒し、心臓は衰弱し、運動神経は栄養不給により麻痺に陥り、知覚神経は停滞して排泄されない老廃物の刺激によって異常感覚あるいは疼痛を発することになる。筋肉もまたその例外ではない」とされています。そして、これらの疾患に共通するのは水気の変(水分の代謝障害;むくみ等を指す)、特に尿不利(小便不利と同意;尿が出にくい事)を伴うことが多いことから、附子で温めて神経や関節にこびりついた水気をほぐし、朮と附子とで利水(利尿により水滞を除く事)を図る協働作業が朮と附子の二味の薬徴です。

白朮の薬理作用:
白朮はキク科のオケラあるいはオオバナオケラの根茎です。単味では利水作用はなく、他の利水薬の茯苓・沢瀉・猪苓および発汗剤の麻黄や桂枝と配合することによって利水作用を発揮します。白朮は関節や筋肉内の過剰な水を他の利水薬や発汗剤等と協働して血中に移動させて関節や筋肉の疼痛を治す作用があります。蒼朮と白朮との鑑別において、白朮は蒼朮には含まれないatractylonを主成分とし、蒼朮は白朮には含有されないatractylodin(βeudesmolとhinesolの混晶)を含有すると規定されています。しかし、実際にはatractylon含有率の高い蒼朮も多く見られるそうです。Atractylonは下垂体―副腎系を介してストレスによる全身機能低下を緩和すると推定されています。

朮と附子の二味の薬徴:
神経や関節にこびりついた水毒は老廃物の貯蔵庫となり、疼痛や麻痺の元凶となります。この水毒をほぐすには温めることが得策であり、新陳代謝を促進して温める附子と性が温であるため附子の熱薬機能を阻害しない白朮が利水剤として選ばれています。そして白朮がほぐれた水毒を集めて血管内に移動させて小便に通利(病邪の留滞を除き、通じさせること)して疼痛や麻痺を改善します。

朮と附子の二味を含有する漢方薬

甘草附子湯:風(感冒や細菌ウイルスを意味する)と湿(すでに内にあった水毒)によって起る激しい関節痛に用いられます。

真武湯:新陳代謝機能が沈衰し、水気が腸胃に滞留して、小便不利(尿の出が悪い状態)あるいは腹痛・下痢をきたし、あるいは上って目眩、心悸亢進等の症状を表すものに用いられます。

附子湯:真武湯に比べ、生姜が人参に変わり、附子と朮の量が倍になっています。これは表裏(但し表>裏)に停水しているためより強く水毒を排除する必要があるからです。背悪寒の状態は白虎加人参湯に似ていますが口中は乾燥せず身体痛、手足寒があります。胃内停水(胃の中に液体が貯留している状態)が認められますが、苓姜朮甘湯では停水が腰部にあるため小便自利(小便が良く出て、時にもらすことがあるのをいう)となり、本方では停水が体表に浮かんで寒(冷えている状態を指す。体表では皮膚とその下の肌肉との境が収縮し悪寒・無汗・発熱を起こし、経絡・筋脈では痛み・ひきつれ厥冷をお越し、腹部では腹痛・下痢を起こす)と痛が主となり尿不利になります。

桂枝加朮附湯:桂枝湯に朮附湯を加えたもので、働きは桂枝湯に似ていますが桂枝湯証に寒邪と湿邪(水毒と同意)による証が加わります。心悸、目眩、浮腫がある時は上逆(咽頭部や頭部に気が衝きあげてくること)する水毒を下降させる働きを持つ茯苓を加えて桂枝加苓朮附湯として使用します。

越婢加朮附湯:越婢湯証(全身的な浮腫や呼吸困難があって、口や咽が渇き、ひとりでに汗がじとじとと出て、寒気がする病症)に小便不利(小便がよく出ないこと)があり、さらに身熱悪寒(発熱しさむけがある状態)し、関節が痛くて重くあるいはしびれているときに用います。



参考文献一覧

「傷寒論の謎-二味の薬徴-」田畑 隆一郎 緑書房(1992年)
「腹症図解 漢方常用処方解説(第50版)」高山 宏世編著(2011年)
「自然の中の生薬-ハンドブック版-」株式会社ツムラ監修 株式会社協和企画(2011年)
「モノグラフ 漢方方剤の薬効・薬理」丁宗鐵・鳥居塚和生著 医歯薬出版株式会社(2009年)
「傷寒・金匱薬物辞典」伊田喜光総監修 根本幸夫・鳥居塚和生監修 万来舎(2006年)
「月刊誌漢方研究 -生薬の薬効・薬理シリーズ-」鳥居塚和生著 小太郎漢方製薬発刊(1997~2007年)
「類聚方広義解説」藤平健主講 藤門医林会編 創元社 (2005年)
「-臨床応用-漢方處方解説」矢數道明著 創元社 (1981年)

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